このプレゼン資料はさっき完成したばかりです

と言われるとそのプレゼンを聞く気は一瞬で失せる.それは「このプレゼンの質は低いです」と宣言されているのと同じだからだ.そんなもの誰が聞きたいと思うだろうか.百戦錬磨の超一流のしゃべり手なら,それでも素晴らしいプレゼンをするだろう.でも大抵の人は違う.よほど聞きたい話題でないと,その低品質なプレゼンを苦労して読み解く気にはならない.そんなことを宣言するのはしゃべり手の傲慢,もしくは忙しいアピールにしか聞こえない.「やべーまだ明日のプレゼンの資料できてないわー」は,「明日の試験の勉強まだしてないわー」に似ている.

資料を作り上げるのをゴールであると思ってるひとも多いと思う.つまり,本番までに一度もその資料を使って「しゃべり」の練習をしていないひとのことだ.そんなもの一発でわかる.分かった瞬間聞く気は失せる.資料つくってそのまま発表するのは,コード書いて,テストなしに,リファクタリングなしに,本番にでプロイするのと同じだ.よほどの技術者でないとそんなことはできない.というか,素晴らしい技術者ほど,しっかりとしたテストを書き,リファクタリングをして,やっとデプロイするだろう.つまり,素晴らしいしゃべり手ほど,資料をつくるだけでなく,資料を作ったあとに実際にそれを使ってしゃべりの練習をし,しゃべりに詰まれば,しゃべりやすいように,よりわかりやすいように資料としゃべりを改善しているということ.資料の完成は,プレゼン準備のスタート地点にたった状態と思わないといけない.

聞き手のことを考えない傲慢なプレゼンがどれだけ多いことか.聞き手の貴重な時間を使っていることに自覚のないしゃべり手がどれだけ多いことか.クソなプレゼンを吐き出しつつけるならもう止めた方がいい,時間の無駄だ.その時間聞き手はみなtwitterを見て世界が平和であるかをチェックしてるのだから.

自分への戒めも込めて.